京都へ旅行に行きたいけど、仕事や家事で忙しくて時間がとれない…
読書を通して少しでも京都の雰囲気を感じたい!
お家の中で京都小説を読み、ちょっとした観光気分が味わえれば日々のストレスも軽減しますよね!
この記事では大学時代京都に住み京都の小説を研究した筆者が、京都を舞台とする小説9選を不思議系、日常系、文学系にわけてご紹介します。
実際に読んでおもしろかったもの、京都らしさが感じられたものを厳選していますので、ぜひ京都本選びの参考にしてください!
【京都あやかしの世界】異世界へ誘ってくれる小説3選
京都ならではの妖しい雰囲気を味わえる小説は、以下の3つです。
単純に怖い話ではなく、さまざまな歴史が入り乱れる京都だからこそ起きる不思議な事象がもりだくさんのおすすめ小説です。
ぜひ、京都あやかしの世界をご堪能ください。
【不思議系1】きつねのはなし|森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」の作者森見登美彦さんの作品集です。
ポップで奇妙な世界観が森見作品の特徴ですが、じめっとした京都が描かれているため珍しく奇妙さが際立つ作品になっています。
ホラーではないけれど何とも言えない不気味さが散りばめられており、読後には何度も内容を思い出してしまうでしょう。
【あらすじ】「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は? 底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
引用:新潮社
【不思議系2】陰陽師シリーズ|夢枕獏
妖怪ものの古典文学といえるのが「陰陽師」です。
「昔の話だから読みにくそう…」と感じた方もご安心ください。
セリフ調の文章が多いのでハラハラドキドキの展開も相まって、すらすら読めます!
歴史用語や京都の地名など調べた方が楽しめる部分もありますが、文脈からの判断も可能です。
より深く作品を味わいたい方は辞書を片手に読み進めてみてください。
「陰陽師」シリーズは第18巻まで発売されているので、長い間楽しめるのも魅力です。
すべて読破する頃には京都に詳しくなっていること間違いなしです。
【あらすじ】死霊、生霊、鬼などが人々の身近で跋扈した平安時代。陰陽師安倍晴明は従四位下ながら天皇の信任は厚い。親友の源博雅と組み、幻術を駆使して挑むこの世ならぬ難事件の数々。
引用:文藝春秋BOOKS
【不思議系3】カール・エビス教授のあやかし京都見聞録|柏井 壽
生粋の京都人エッセイスト柏井 壽が描く京都の不思議な日常を味わえます。
京都弁のセリフが織りなす京都のゆったりとした雰囲気と、日常に潜む少し妖しい体験が散りばめられた京都独特の空気を感じられる作品です。
【あらすじ】「鴨川食堂」著者が贈るシリーズ!京都にまつわる不思議な体験、してみませんか。英国人ミステリー作家のカール・エビスは、京都にある名門・京洛大学に招かれ、教鞭を執っている。次回作執筆の参考にと、講義がない日には助手の九条葵と京都の街を練り歩き、日々創作の種を捜している。まだ京都へ来てから日が浅いカールを驚かすのは、京都ならではの不可思議な出来事だ。時間や空間の概念などないかのように、安土桃山時代の逸話〈宗旦狐〉の母狐が化けた女性の姿を見かけたり、〈六道の辻〉の案内人である年齢不詳の老婆と出会ったり。京都人らしい、気遣いができるも小言を言わねば気が済まない性格の葵に振り回されながら、行く先々で、カールは科学で解明できない出来事に遭遇する。
【京都聖地巡礼にぴったり】京都の日常が覗ける小説3選
伝統とハイカラ文化が入り乱れる現代京都での日常を味わえる作品は、以下の3つです。
実際に京都で暮らした経験を持つ作者の作品なので、観光だけではたどり着けない京都の内側から京都文化を体験できます。
「内」と「外」の線引きがはっきりしている京都人の「内」を覗ける絶好の機会です。
京都に住む人の視点で描かれるリアルな京都を、ぜひご堪能ください。
【日常系1】手のひらの京|綿矢りさ
「インストール」「蹴りたい背中」など人の心情に焦点を当てた話題作を多く生み出す綿矢りささんの作品です。
京都の人々にとって観光名所やイベントは恋愛や仕事に悩んだりすることと同じで日常の一部であることを認識させられる物語です。
外から見た京都は華やかで幻想的ですが、京都で暮らす人にとっては幼い頃からの思い出が詰まった温かい場所。
京都で生まれ育った作者だからこそ描ける「普通」の京都を体験すれば、きっと京都を身近に感じられるでしょう。
【あらすじ】京都に生まれ育った奥沢家の三姉妹。長女の綾香はのんびり屋だが、結婚に焦りを感じるお年頃。負けず嫌いの次女、羽依は、入社したばかりの会社で恋愛ざたといけず撃退に忙しい。そして大学院に通う三女の凜は、家族には内緒で新天地を夢見ていた。春の柔らかな空、祇園祭の宵、大文字焼きの経の声、紅葉の山々、夜の嵐山に降る雪。三姉妹の揺れる思いを、京の四季が包みこむ、愛おしい物語。
引用:新潮社
【日常系2】太陽の塔|森見登美彦
大学時代を京都で過ごした森見登美彦さんのデビュー作です。
個性的な登場人物たちを後ろで見守り続ける京都の街が印象的に描かれています。
私小説かと思えばファンタジー要素もふんだんに散りばめられているため、森見ワールドを堪能できる作品です。
学生ならではのエネルギーと自己探求欲が溢れた作品で、疾走感を味わえます。
【あらすじ】私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
引用:新潮社
【日常系3】いちげんさん|デビット・ゾペティ
京都を舞台に繰り広げられるしっとり恋愛小説です。
京都の「外」から来た留学生の主人公が、独特な文化を持つ京都の街に受け入れられようともがく様子が描かれています。
主人公が自分のアイデンティティと葛藤する中で出会った京都人女性との恋は湿っぽくも美しい。
2人を包む京都の風情がさらに物語の上品さに拍車をかけています。
主人公が文豪「谷崎潤一郎」に想いを馳せる場面も多いため、谷崎作品も合わせて読みたくなること間違いなしです。
【あらすじ】京都の大学で日本文学を専攻する留学生の「僕」。目の不自由な若い女性・京子と知り合い、次第に彼女と恋に落ちていく…。第20回すばる文学賞受賞のセンシティブな恋愛小説。(解説・沼野充義)
引用:集英社
【文豪たちが愛した京都を体験】じっくり京都の趣が味わえる小説3選
主人公の湿っぽい心情に呼応する趣ある京都に浸れる作品は、以下の3つです。
文豪たちの京都作品には、京都の華やかさだけでなく京都が持つ「暗さ」も描かれています。
しかしその「暗さ」さえも「美」と認識させる文豪たちの手腕は圧巻です。
文豪たちが描く「The 京都」の世界に没入し、日常の喧騒を忘れましょう。
【文学系1】檸檬|梶井基次郎
国語の教科書にも掲載されている言わずと知れた名作です。
病気を患う主人公の絶望と希望が入り乱れた作品で、平凡な日常の中で想像力が果たす役割の大きさを思い知らされます。
主人公を取り巻く陰湿な環境と檸檬の鮮やかさが印象的な、何度も読みたくなる作品です。
【あらすじ】31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。
引用:新潮社
【文学系2】金閣寺|三島由紀夫
「金閣寺」は、美への憧れや劣等感から人間の本質を問いかけられる戦後文学の最高傑作です。
昔の文体や文章表記が使われているため慣れるまでは少し読みづらさを感じるかもしれません。
しかし、主人公の極端な思考に引き込まれてついつい読み進めてしまうこと間違いなしです。
美の象徴として描かれる「金閣寺」に魅せられた主人公の行く末を自身の目で体験してください。
【あらすじ】「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り、31歳の三島が自らの内面全てを託した不朽の名作。血と炎のイメージで描く〈現象の否定とイデアの肯定〉──三島文学を貫く最大の原理がここにある。【新装版】
引用:新潮社
【文学系3】ノルウェイの森|村上春樹
世界的に有名な作家村上春樹さんのベストセラー小説です。
上下巻ある長編恋愛小説の重要な一場面の舞台に京都が選ばれています。
村上作品の特徴であるわかりやすい文体でありながらも一読しただけではなかなか理解できない内容は健在。
そこに京都の異世界感が加わることで、着地点の見えない不思議な気分が味わえます。
「なぜ主人公はあんな行動をとったのか」「京都が舞台に選ばれたことに理由はあったのか」など読了後に誰かと語り合いたくなる作品です。
【あらすじ】限りない喪失と再生を描く究極の恋愛小説!暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
引用:講談社BOOK倶楽部
京都オススメ書店5選
筆者が実際に足を運んだおすすめ書店は、以下の5つです。
全国にある書店でも京都ならではの雰囲気があったり、京都にちなんだ書籍や文房具が購入できたりします。
この項目では、各書店の特徴と書店近くの観光地も合わせてご紹介します。
書店巡りをすれば普段と違う京都観光ができるので、ぜひ参考にしてくださいね!
大垣書店 京都本店|京都グッズや書籍が並ぶ新たな観光スポット
アクセスの良さ抜群!伝統と最先端の京都文化が集まる場所です。
京都の繁華街に通じる「四条駅」直結のアクセスの良さ。
「SUINA室町」という商業施設の1階に書店はあります。
店内は落ち着いた照明と優しい音楽に包まれており、試し読み用のオシャレな椅子も設置されています。
小説やビジネス書が豊富なのはもちろんですが、こちらの書店では漫画やアニメ、デザイン関連の書籍の多さが特徴です。
京都らしい小物や京都の本が並ぶ京都コーナーもあるので、定番ではない京都土産を探している方にぴったりです。
同じ施設の地下にはレストラン街、2階にはポケモンセンターがあるのでどの世代も楽しめます。
書店名 | 大垣書店 京都本店 |
住所 | 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78 |
営業時間 | 10:00~22:00 |
公式サイト | https://www.books-ogaki.co.jp/stores/kyoto-honten |
近くの観光地 | 八坂神社・仏光寺 |
丸善 京都本店|洗練された空間でじっくり本と向き合える場所
小説の聖地巡礼にぴったりの場所です。
「丸善京都本店」は上記でご紹介した梶井基次郎作「檸檬」の舞台となった場所です。
地下2階にはカフェが併設されており、「檸檬」という名前のレモンケーキを食べられます。
小説の舞台となった場所で実際に小説を手に取る感動を味わえる貴重な場所です。
地元民にも観光客にも人気な「四条エリア」に建つ商業施設「BAL」の地下1階、地下2階に店舗はあります。
小説の品揃えが豊富なだけでなく、専門書や洋書、図録なども多いため知識人に好まれる洗練された雰囲気が印象的です。
若者が集まる商業施設内にありながら静かで趣のある空間なので、自分のペースで本と向き合えます。
書店名 | 丸善 京都本店 |
住所 | 京都府京都市中京区河原町通三条下ル山崎町251 |
営業時間 | 11:00~20:00 |
公式サイト | https://www.bal-bldg.com/kyoto/maruzen.html |
近くの観光地 | 八坂神社・祇園・先斗町 |
大垣書店 イオンモールKYOTO店|品揃えの多さはダントツ!
アクセスの良さ抜群!
京都駅から徒歩10分の場所に位置するイオンモール内の大型書店です。
小説や雑誌、専門書がバランスよく取り扱われています。
京都の玄関口ということもあり、とくに京都を含めた国内外の観光本が豊富です。
絵本や知育グッズの品揃えも多いため「旅行中に子どもをあやすグッズが欲しい」という緊急事態でも安心です。
観光客にあまり知られていない場所なので、イオンモール内のフードコートなどで落ち着いて食事をとれます。
イオンモールスーパーでは京都発祥「志津屋」のパンや京都限定のだし風味カップ麺なども買えるのでお土産にオススメです。
書店名 | 大垣書店 イオンモールKYOTO店 |
住所 | 京都市南区八条通西洞院下ル西九条鳥居口町1 |
営業時間 | 10:00~21:00 |
公式サイト | https://www.books-ogaki.co.jp/stores/ogaki-aeon_kyoto |
近くの観光地 | 東寺・京都水族館・伏見稲荷大社 |
恵文社一乗寺店|世界が認めたKYOTOの趣を持つ街の本屋さん
観光客の少ない穴場スポットに佇む唯一無二の本屋さんです。
イギリスのガーディアン紙が2010年に発表した「世界で一番美しい本屋10」に日本で唯一選ばれました。
アンティーク調で統一された店内はオシャレでありながら、本と向き合う静かな時間を演出してくれる優しい雰囲気に包まれています。
店長さんによって選び抜かれた本だけが並ぶため、本好きはもちろん読書に苦手意識がある人も自分にぴったりの本を見つけられる場所です。
静かな店内でわずかに聞こえる店長さんと常連さん、取引先の方との穏やかな会話も店内に温かさをもたらしています。
隣には時期ごとに変わるギャラリー展示や温もりのある雑貨販売も行われているので、時間を忘れて優しい世界に浸ってくださいね。
お店の外には専用のお手洗いもあるので、気兼ねなく長居できますよ。
書店名 | 恵文社 一乗寺店 |
住所 | 京都市左京区一乗寺払殿町10 |
営業時間 | 11:00~19:00 (無休) |
公式サイト | https://www.keibunsha-store.com/ |
近くの観光地 | 下賀茂神社・銀閣寺 |
ホホホ座|個性的な本に出合うならココ!
未知の本と出会わせてくれる個性的な本が並ぶ書店です。
「はみ出し者」といわれる筆者のクスっと笑える随筆集や、哲学的な問いを投げかけられる小説など幅広いジャンルの本が揃っています。
本との偶然な出会いを演出するために店長さんがわざと違うジャンルの本を棚に入れることもあるそうです。
店は2階建てで1階では新刊書と雑貨、2階では古書と雑貨が販売されています。
ホッと力が抜けるような優しいデザインの雑貨はつい手に取りたくなるでしょう。
現在では数少なくなった街の本屋さんで素敵な出会いがあること間違いなしです。
書店名 | ホホホ座 浄土寺店 |
住所 | 京都市左京区浄土寺馬場町71 ハイネストビル1階 |
営業時間 | 11:00~19:00(無休) |
公式サイト | http://hohohoza.com/ |
近くの観光地 | 銀閣寺・哲学の道 |
まとめ|小説を堪能したあとは、京都へ行こう!
この記事では、京都の小説について以下の4点をご紹介しました。
小説の舞台となった場所だけでなく、京都の書店巡りをすることで普段と違った京都を楽しめます。
小説で京都を存分に味わったあとは、ぜひ京都旅行に出かけてみてくださいね。